土地の境界には大きく分けて、2種類あることはご存じでしょうか?
●筆界(ひっかい、ふでかい)・・・公法上の境界で、お国が定めた境で法務局に図面があり確認できます。
●所有権界(しょゆうけんかい)・・・私法上の境界で、隣接する土地の所有者間で定めた境です。
通常、【境界】は、上記2種類の境が一致していることを大前提として、話が進められますが、「土地境界確定測量」を行った際に、不一致が発見される場合があります。(下図参照)
「所有権界」は、所有者間で自由に変更することが可能ですが、「筆界」は所有者間の合意で移動するものではありません。
我々、土地家屋調査士は法務局の備え付け図面等を参考に「筆界」を現地に明示し、各所有者様には「筆界」のご確認をして頂きます。(現地立会い)
その際に、隣接者様から図面や資料、口頭にて見解が異なる旨のお話があった場合、「筆界と所有権界の不一致」が発生していると判断することができます。(※但し、必ずしも、そこに不一致が発生しているということは無く、新事実により最初に明示した筆界が間違っていることもあります。)
上図で、AさんとBさんで「所有権界」がお互いに同意されている場合は、「乙地」を青破線の通り、分筆登記し、分筆した土地(赤線と青破線に囲まれた部分)について所有権移転登記することで、筆界と所有権界を一致させることが可能です。(※明示した「筆界(赤線)」に異議が無いことも必要)
明示した「筆界」に異議があり、どうしても納得頂けない場合、法務局には「筆界特定制度」があり、申請することにより(もちろん費用は掛かりますが)、登記官が明らかにしてくれる制度があります。ただ、筆界が特定されても、納得できない又は筆界と所有権界で不一致が解決していない場合には、【境界確定訴訟】や【所有権確認訴訟】に発展する可能もあります。
以上のことから「土地境界確定測量」を行った場合でも筆界確認が不調になること(明確にできない)があることをご承知おきください。
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